著者:田中勝治 歯科医師(田中矯正歯科おとなこども歯科)最終更新日:2026年9月19日

この記事でわかること

  • 子どもの矯正相談と、実際に治療を始める年齢の違い
  • 受け口・交叉咬合などを早めに確認するタイミング
  • 今治療する・経過を見る・永久歯を待つという選択肢

まずお伝えしたいこと

「子どもの矯正は早いほどよいのでは」「7歳になったら始めないと遅いのでは」と心配される保護者の方もいます。しかし、子どもの矯正治療に一律の開始年齢はありません。実は、7歳前後は「全員が矯正装置をつける年齢」ではなく、前歯や第一大臼歯(だいいちだいきゅうし)などの永久歯が生え始め、これからの歯並びや噛み合わせを評価しやすくなる時期です。相談した結果、「今は治療せず経過を見ましょう」となることもあります。大垣市の当院(田中矯正歯科おとなこども歯科)では、年齢だけで治療開始を決めません。現在の歯、生え替わり、上下のあご、噛み合わせを確認し、今治療する意味があるのかを考えます。Web予約はこちら(新しいタブで開きます)

7歳前後は「治療開始」ではなく「確認」の目安です

米国矯正歯科学会は、7歳までに一度、矯正歯科的な評価を受けることを案内しています。日本臨床矯正歯科医会も、何歳からと一律には決められず、気になった時点で相談できるとしています。7歳前後になると、

  • 永久歯が生える場所が足りそうか
  • 前歯の位置はどうか
  • 上下のあごの関係はどうか
  • 奥歯が左右で噛んでいるか
  • 永久歯が予定した位置へ生えているか

を確認しやすくなります。つまり7歳は、治療を始める締め切りではなく、将来を考える確認時期の一つです。

7歳より前でも相談したほうがよい場合があります

年齢に関係なく、次のような状態では早めに確認することがあります。

  • 受け口になっている
  • 片側だけ奥歯が逆に噛んでいる
  • 噛むと下あごが横へずれる
  • 前歯が噛み合わず開いている
  • 永久歯が生える場所が少ない
  • 永久歯がなかなか生えてこない

「まだ乳歯だから待つ」と思われがちですが、成長期に確認する意味がある噛み合わせもあります。ただし、相談したからといって必ず治療を始めるわけではありません。

受け口は歯と骨格を分けて考えます

受け口では、下の前歯が上の前歯より前で噛みます。原因には、

  • 前歯の傾き
  • 上あごの成長
  • 下あごの成長
  • 複数の要因

があります。子どもは成長途中にあるため、現在の噛み合わせだけではなく、これからの成長も含めて評価します。早く装置をつけることより、今治療する目的があるかを確認することが大切です。

交叉咬合では下あごの横ずれも確認します

交叉咬合(こうさこうごう)は、上下の歯の関係が一部で逆になっている噛み合わせです。片側の奥歯だけが交叉していると、歯を合わせるために下あごを横へ動かしている場合があります。2021年のCochrane Reviewでは、7〜11歳の奥歯の交叉咬合に対し、一部の拡大装置が無治療より有効であることを支持する結果が示されています。

Cochrane Reviewとは

複数の医学研究を厳密な方法でまとめ、治療効果を評価するシステマティックレビューです。研究結果があるから全員に同じ装置を使う、という意味ではありません。歯の傾き、上あごの幅、下あごの横ずれ、今後の成長を確認します。

「早く相談する」と「早く治療する」は違います

早めに相談するメリットは、早く装置をつけることではありません。相談によって、

  • 今治療する意味がある
  • 半年後に再確認する
  • 生え替わりを待つ
  • 永久歯がそろってから治療する

といった選択ができます。子どもの矯正では、待つことも治療計画の一部になる場合があります。「早く始めれば将来必ず簡単になる」と断定することもできません。

第1期治療と第2期治療は目的が違います

子どもの矯正は、二つの段階に分けて考えることがあります。

第1期治療とは

乳歯と永久歯が混ざる時期などに行う治療です。主に、

  • あごの成長
  • 歯が生える場所
  • 上下の噛み合わせ
  • 骨格的な関係

を確認しながら対応します。

第2期治療とは

永久歯がほぼ生えそろったあとに、一本ずつ歯の位置を調整する治療です。前歯だけでなく、奥歯の噛み合わせまで整えます。第1期治療を行っても、第2期治療が必要になる場合があります。治療前には、今回の治療がどこまでを目標としているのかを確認してください。

第1期治療にはメリットと負担があります

考え方メリットデメリット・注意点
早期治療成長期にしか検討しにくい方法が使える場合観察・治療期間が長くなる場合
経過観察不要な装置を使わずに済む定期的な確認が必要
永久歯を待つ本格治療をまとめて行える場合成長期の治療機会を使わない場合
第2期治療歯を細かく調整できる装置・期間・費用が必要

早ければよい、遅ければよい、というものではありません。

小児歯科・一般歯科と矯正歯科は役割が違います

子どものお口では、矯正だけを見るわけではありません。

診療主に確認すること
一般歯科・小児歯科むし歯、歯ぐき、乳歯、永久歯、予防
矯正歯科歯の位置、噛み合わせ、あご、骨格
耳鼻咽喉科など慢性的な鼻づまり、いびき、呼吸など

むし歯や歯肉炎が多ければ、先にお口の環境を整えることがあります。装置を早くつけることより、治療を続けられる状態をつくることが大切です。

子ども本人が治療へ参加できることも重要です

装置によっては、

  • 毎日使用する
  • 食事で取り外す
  • ゴムを使う
  • 丁寧に歯磨きをする

など、お子さん自身の協力が必要です。保護者の方だけが希望し、本人が治療を理解できていないと継続が難しくなる場合があります。何のために治療するのかを、年齢に合わせて本人にも説明します。

「広げれば将来抜歯しなくて済む」とは限りません

子どもの時期に歯列を広げる治療が候補になることがあります。一方で、「今広げれば、将来は必ず非抜歯になる」とは言えません。将来の抜歯・非抜歯には、

  • 永久歯の大きさ
  • 歯を並べるスペース
  • 前歯の位置
  • 骨格
  • 口元
  • 最終的な噛み合わせ

が関係します。田中勝治は2001年・2002年から、叢生(そうせい)や開咬(かいこう)における抜歯判断について検討してきました。子どもの治療でも、「抜かないために広げる」という一つの目的だけでは考えません。

子どもの矯正でも最終的な噛み合わせを考えます

田中勝治は1998年に、矯正治療中の下顎位(かがくい)について研究・報告しています。

下顎位とは

下顎位とは、下あごがどの位置にあるかという意味です。子どもの矯正でも、前歯がきれいに見えることだけが治療のゴールではありません。永久歯がそろったあと、

  • 前歯がどう並ぶか
  • 奥歯がどう噛むか
  • 下あごがどこで噛むか

まで考える必要があります。

当院の診療方針

当院では、年齢だけを基準に「今すぐ治療」とは決めません。今治療する意味があるのか。生え替わりを待つほうがよいのか。永久歯列で治療するほうがよいのか。一人ひとり分けて考えます。大垣市の地域のかかりつけ医として、一般歯科・定期管理も含めてお口全体を確認します。「まだ5歳だから相談するのは早いかな」と遠慮する必要もありません。矯正相談の入口は、「前歯がガタガタしてきた」「受け口が気になる」で構いません。そこから、歯の生え替わり。上あご。下あご。永久歯。奥歯の噛み合わせ。成長。へと視点を広げていきます。歯が自然に並ぶこと。永久歯が生える場所を考えること。前歯と奥歯が役割を持つこと。下あごが無理なく機能すること。美しさ・健康・噛む働きを一緒に整えることが、当院が大切にしている「機能美」へつながります。子どもの矯正では、今だけでなく、永久歯がそろったあとの状態から逆算して考えることが大切です。子どもの矯正相談をWeb予約する(新しいタブで開きます)

費用について

2026年9月時点では、次の料金体系でご案内しております。金額の詳細は、医院のページにてご確認ください。当院公式サイトでは、初診矯正相談を無料※または3,300円と案内しています。※当院の一般診療へ通院中・今後通院予定の方、ご紹介の場合は相談料がかからない旨を案内しています。小児矯正については、現在の歯の生え替わりや必要な治療範囲によって内容が異なるため、公開されていない治療費はここでは記載しません。矯正治療費の詳細はこちら(新しいタブで開きます)

よくある質問

Q1:子どもの矯正相談は何歳からできますか?

年齢にかかわらず、歯並びや噛み合わせが気になった時点で相談できます。7歳前後は永久歯が生え始めるため、一度確認する目安です。ただし、7歳になったら全員が治療を始めるわけではありません。

Q2:5歳で受け口ですが、7歳まで待ったほうがよいですか?

7歳まで必ず待つ必要はありません。歯の傾きが原因なのか、上下のあごの関係も影響しているのかを確認します。診察後に、今治療するか経過を見るかを判断します。

Q3:第1期治療を受ければ、大人になってからの矯正は不要ですか?

必ず不要になるとは言えません。第1期治療で成長や噛み合わせへ対応しても、永久歯がそろったあとに細かな歯並びの調整が必要になる場合があります。治療前に第2期治療の可能性まで確認してください。

子どもの矯正相談で確認したい3つのこと

  1. 今、早めに対応したほうがよい歯並び・噛み合わせはありますか?
  2. 今治療する場合と、経過観察する場合では何が違いますか?
  3. 永久歯がそろったあと、どのような歯並びと噛み合わせを目指しますか?

子どもの矯正は「何歳から始めるか」を競う治療ではありません。今しかできないことがあるのか。今は待つほうがよいのか。永久歯になったあと何が必要なのか。そこを一人ひとり考えていきます。

参考情報・監修

本ページは一般的な情報であり、症状がある場合は歯科医師にご相談ください。正確な診断には対面での診察が必要です。