
一期治療と二期治療はどう違う?子どもの矯正を始める時期と考え方
最終更新:
最終確認日:
著者:田中勝治 歯科医師(田中矯正歯科おとなこども歯科)最終更新日:2026年9月19日
この記事でわかること
- 一期治療と二期治療で行うことの違い
- 子どもの矯正を始めるか経過を見るか考えるタイミング
- 小児歯科・矯正歯科・経過観察を含めた治療の選択肢
まずお伝えしたいこと
「子どもの矯正は早く始めたほうがよいのかな」「今やらないと手遅れになるのでは」と心配される保護者の方は少なくありません。早めに相談したいと考えることは自然です。実は、子どもの矯正は「早ければ早いほどよい」とは限りません。成長期に対応したほうがよい問題もあれば、永久歯への生え替わりを見ながら待ったほうがよい場合もあります。一期治療を行っても、永久歯列で二期治療が必要になることもあります。大垣市の当院(田中矯正歯科おとなこども歯科)では、年齢だけで治療開始を決めません。現在の歯並び、永久歯、顎の成長、奥歯、下あご、噛み合わせを確認し、「今治療する意味があるか」から考えます。Web予約はこちら(新しいタブで開きます)
どんな状態が「よくある」か
子どもの歯並びについては、次のようなお悩みを伺います。
- 「下の前歯が上の前歯より前に出ている」
- 「永久歯が生える場所が足りなそう」
- 「前歯がかなり重なって生えてきた」
- 「前歯が出ていて、ぶつけないか心配」
- 「永久歯がなかなか生えてこない」
- 「今すぐ矯正するのか、待ってよいのか分からない」
一期治療を検討する主な理由
一期治療は、年齢ではなく現在の成長と噛み合わせから検討します。
- 混合歯列期: 混合歯列期(こんごうしれつき)とは、乳歯と永久歯の両方がある時期です。生え替わりと顎の成長を一緒に確認できます。
- 反対咬合: 反対咬合(はんたいこうごう)は、下の前歯が上の前歯より前で噛む状態です。歯だけによるものか骨格も関係するかを確認します。
- 永久歯のスペース不足: 永久歯が並ぶ場所が不足している場合があります。歯列や永久歯の位置を確認して対応を考えます。
- 上下の顎の成長差: 上顎と下顎の前後・左右の関係が治療計画に影響することがあります。成長を定期的に確認します。
- 口腔習癖: 指しゃぶりや舌の使い方などが噛み合わせへ影響する場合があります。ただし、癖だけで原因を決めるものではありません。
- 稀に埋伏歯や過剰歯: 稀に永久歯が骨の中に埋まっていたり、余分な歯が生える方向を妨げたりする場合があります。必要に応じて画像で確認します。
一期治療とは
一期治療は、主に成長期や混合歯列期に行う矯正治療です。目的は、永久歯を一本ずつきれいに並べ切ることとは限りません。例えば、
- 顎や歯列の幅を確認する
- 永久歯が生える場所を整える
- 受け口などへ対応する
- 歯が生える方向を確認する
- 成長を利用できる問題へ対応する
などを検討します。子どもの成長を利用できることは特徴ですが、成長を完全に予測することはできません。そのため、一期治療後も定期的な確認が必要です。
二期治療とは
二期治療は、永久歯がおおむね生えそろった段階で行う本格的な矯正治療です。この段階では、
- 歯の位置
- 歯の傾き
- 歯根の方向
- 前歯の位置
- 奥歯の位置
- 上下の噛み合わせ
などを細かく調整します。ワイヤー矯正、マウスピース型矯正装置、両方を組み合わせる方法などから選択します。一期治療で使った装置が、そのまま二期治療でも使われるとは限りません。永久歯列をあらためて診断します。
一期治療と二期治療を比較します
| 比較項目 | 一期治療 | 二期治療 |
|---|---|---|
| 主な時期 | 乳歯列〜混合歯列期 | 永久歯がおおむねそろった時期 |
| 主な目的 | 成長・歯列・生え替わりへの対応 | 永久歯の位置・噛み合わせを整える |
| 顎の成長 | 治療計画へ取り入れる場合 | 残る成長も確認する |
| 永久歯 | 生える場所・方向を見る | 一本ずつ細かく位置を調整 |
| 主な装置 | 状態に応じて拡大装置など | ワイヤー・マウスピースなど |
| 治療後 | 経過観察または二期治療 | 保定へ移行 |
| 全員必要か | 必要ない場合がある | 一期後に不要な場合もある |
一期治療は「二期治療をなくすための治療」とは限りません。一期で何を整え、永久歯列で何を仕上げるのかを分けて考えます。
経過観察も一つの選択肢です
「今は治療しない」と「何もしない」は同じではありません。生え替わりの途中では、自然な変化を待ってよい場合もあります。例えば、
- 永久歯がもう少し生えるまで待つ
- 顎の成長方向を確認する
- すき間や重なりがどう変わるかを見る
- 治療開始に適した時期を待つ
といった経過観察です。早く始めれば安心と思われがちですが、治療の必要性が少ない時期から装置を使うことが適切とは限りません。定期的に確認し、必要な時期を逃さないことが大切です。
受診の目安
歯並びの相談は緊急ではありませんが、痛みや腫れなどがあれば一般歯科的な対応を優先します。
早急に受診が必要なサイン
外傷や強い感染が疑われる場合は、矯正相談より先に診察が必要です。
- 顔や喉が急に腫れ、呼吸や飲み込みが難しい
- 大量出血が続き、圧迫しても止まりにくい
- 激しい歯痛・発熱・急速な腫れがある
- 外傷後に意識がぼんやりする
早めの相談をおすすめするケース
次の期間は診断基準ではなく、相談を先延ばしにしない目安です。
- 歯や歯ぐきの強い痛みが3日以上続く
- 腫れや出血が1週間程度続いている
- 永久歯が明らかに重なって生えてきた
- 受け口や左右のずれが気になる
- 永久歯の生え方について学校健診などで指摘された
様子見する場合の注意点
- 歯を指で押して動かそうとしない(歯や歯ぐきを傷めるため)
- 市販の矯正器具を自己判断で使用しない(成長や噛み合わせを管理できないため)
- 「まだ子どもだから」と指摘を放置しない(確認だけして経過を見る場合もあるため)
小児歯科・矯正歯科で確認すること
子どもの矯正では、歯並びだけでなく生え替わりも確認します。
- 問診: 気になる歯並び、指しゃぶり、口呼吸、生え替わりの経過などを確認します。
- 視診: 乳歯・永久歯、むし歯、歯列、噛み合わせを確認します。
- 触診(しょくしん): 顎の動きや歯ぐきなどを必要に応じて確認します。
- 検査: 必要に応じてレントゲンや写真などから永久歯、顎骨、上下の関係を評価します。
一般歯科・小児歯科では、むし歯や予防、生え替わりを管理します。矯正歯科では、歯の位置、成長、噛み合わせを評価します。両者は競合するものではありません。
治療の考え方
子どもの歯並びでは、治療をしない選択肢も含めて比較します。
- 経過観察: 今すぐ介入する理由が少ない場合に、成長と生え替わりを確認します。
- 一期治療: 成長期に対応したほうがよい歯列や噛み合わせがある場合に検討します。
- 二期治療: 永久歯列で歯の位置と噛み合わせを細かく調整します。
- 一般歯科・小児歯科との継続管理: むし歯予防、生え替わり、歯ぐきの健康を確認しながら進めます。
一期治療には、成長期に対応できる利点があります。一方で、装置への協力、予測とは異なる成長、二期治療が必要になる可能性などもあります。
今日からできること
家庭では歯を動かそうとせず、変化を観察してください。
- 生え替わりを記録する: 永久歯がいつ生えたか確認しやすくなります。
- 正面と横顔の写真を残す: 成長による変化を比較できます。
- むし歯予防を続ける: 健康な歯と歯ぐきは矯正治療の土台になります。
- 癖を強く叱らない: 指しゃぶりや舌の使い方には年齢や背景も関係するためです。
当院の診療方針
当院では、「小学生になったから一期治療」という年齢だけの考え方では治療を決めません。今治療する意味があるのか、永久歯を待ったほうがよいのかを、成長・歯列・噛み合わせから考えます。田中勝治は1998年に下顎位(かがくい)について研究・報告し、2001年には顔のタイプ、奥歯の傾き、下顎骨の皮質骨(ひしつこつ)の関係について共同研究を行っています。1990年の開院以降、成長期から成人まで、歯列だけでなく顎や噛み合わせをつなげて見る矯正臨床を続けてきました。
下顎位とは
下顎位(かがくい)とは、下あごがどの位置で噛んでいるかという意味です。子どもの頃に歯列を広げることだけが治療のゴールではありません。永久歯が生えそろったときに、前歯と奥歯がそれぞれの役割を持ち、下あごが無理なく動いて噛める状態へつながるかを考えます。大垣市の地域のかかりつけ医として、小児歯科・一般歯科・矯正歯科を分けすぎずに見ていきます。「今すぐ矯正するほどではないかも」と迷う段階でも遠慮する必要はありません。早く治療することだけがゴールではありません。必要な時期に必要な治療を行い、永久歯が自然に並び、清掃しやすく、しっかり噛める状態へつなげること。成長の先にある美しさ・健康・噛む働きを一緒に考えることが、当院が大切にしている「機能美」へつながります。
費用について
2026年9月時点では、次の料金体系でご案内しております。金額の詳細は、医院のページにてご確認ください。小児矯正は、乳歯列期・混合歯列期・永久歯列期で必要な検査や治療内容が異なります。そのため、
- 一期治療だけの場合
- 経過観察を挟む場合
- 二期治療へ進む場合
- 永久歯列で新たに精密検査を行う場合
では、総額も変わります。治療前には、一期治療だけの場合と、二期治療まで進んだ場合の費用の考え方を確認してください。
よくある質問
Q1:一期治療をすれば二期治療は必要なくなりますか?
必ず不要になるわけではありません。一期治療後も永久歯への生え替わりと顎の成長は続きます。永久歯がそろった段階で再評価し、必要なら二期治療を検討します。
Q2:子どもの矯正は何歳から始めるのがよいですか?
全員に共通する開始年齢はありません。受け口、永久歯のスペース、顎の成長などによって適した時期が変わります。年齢より「今治療する理由があるか」を確認します。
Q3:相談して「今は経過観察」と言われても大丈夫ですか?
経過観察も一つの治療方針です。成長や永久歯の生え替わりを確認し、必要な時期に再評価します。「次はいつ、何を確認するのか」まで聞いておくと分かりやすいでしょう。
参考情報・監修
本ページは一般的な情報であり、症状がある場合は歯科医師にご相談ください。正確な診断には対面での診察が必要です。










